「やめるやめる詐欺」と「プリントアウトで信者化」。
※前回記事で取り上げた『BANされた詐欺』と組み合わせて使われる事の多い、二つの大衆操作テクニックを紹介します。
[ 目次 ]
前回記事『BANされた詐欺』の簡単なまとめ
自らがブログやツイッターアカウントを削除したにも関わらず、「敵に都合の悪い自分のブログが消されて(BANされて)しまった!」とアピールし、そのコミュニティで大きな求心力を得る為に使われます。
思い通りに動かしたいコミュニティに対して、信用を得る為に組織的に行われる洗脳テクニック。中心となる教祖役とその仲間達によって行われ、同じような思想や共通の敵(政治政党・外国・宗教団体など)を持つコミュニティに対し効果を発揮します。
教祖役は教祖然とした者とは限らず、親しみやすいキャラ作りをした者達もいます。
騙されない人達には「敵側の人間」というレッテルを貼り、コミュニティからの排除を行います。
ターゲットとなるコミュニティの、
・内部からのコントロール。
・目的達成を遅らせる。
・訴えているものの信憑性を落とす。
などを目的とした工作の中の、テクニックの一つとなります。
やめるやめる詐欺
やめるやめる詐欺とは。
本来は、ツイッターやブログなどを「やめる」と高らかに宣言しては辞めなかったり、辞めてもすぐ帰ってくるを繰り返す人達を指す言葉です。
承認欲求の肥大化した「かまってちゃん」がやる、他愛のない行動のことですね。
(下の記事は「なみだの別れをしたあと、なぜか転校しないままでそのまま教室に居るクラスメイト」という表現が秀逸だったので貼っておきます)
しかし私は、その「やめるやめる詐欺」を恥ずかしげもなくコミュニティのコントロールのために使うという珍しい事例を見てきたので、大衆操作としての「やめるやめる詐欺」の使用例を書こうと思います。
大きな矛盾点にも無反応な人達。
あるコミュニティに巣食うその教祖役も、もちろん過去に複数回「BANされた詐欺」を働いてきました。
設定は「自分は一般人だけれども重要な人間だから支配層に狙われていて、隠されている科学技術によって頭と体をたびたび操られている」です。
何をしでかそうが、そのコミュニティ内でだけは本人のせいにはなりませんね。
私がその設定以外でまず疑問に思ったのは、「BANされたのに、次の新しいブログでも同じブログサービスを使い続けるんだなぁ」ということでした。もしBANされたのなら、二度とそんなブログサービスは使わないと思います。
その教祖役は、やめるやめる詐欺も過去に幾度か使ってきました。
「頭と体が支配され過ぎて、もう自分ではなくなる」からブログやツイッターを閉鎖したのに、しばらくするとまた何食わぬ顔で戻ってくるのです。そしてまた数ヵ月もすると「頭と体が支配され過ぎて───!」
「ハイ、ハイ」って感じですが、やはりその読者達は不思議とそれらを受け入れ、その「やめるやめる詐欺」によっても教祖役に対する信頼を深めていきます。
しかし、以前その教祖役は「自分に対して行われる肉体の遠隔操作技術の完成」で「私でいられる限界」だから、「名義を手放す」と言って辞めていました。以後、同じ名義である場合には操作された自分だとも言っていた。
にも関わらず、しれっと同じ名義で戻ってきたのです。でも、それをそのコミュニティの誰もが触れる事なく信じ続けている事に、すごく怖いものを感じたのを覚えています。
信者化しやすい人達の特徴として、矛盾に気付きにくいというものがあるようですね。
ある “事件” 。
ある時、その教祖役がまたもや「自分ではなくなる限界がくるので年末に辞める」と言い出したしばらく後に、その “事件” は起きました。(支配層に操られている筈なのに「年末」とかキリのいい所を持ってくるのもどうかと思うのですが…。その隠された科学技術が存在していても、教祖役のその矛盾だらけの言動を世間はどう見るのでしょうか?)
その “事件” ─── そのコミュニティ内でBANされた詐欺の事が書かれたツイートが発信されたのです。その教祖役の名前などは書かれていませんでしたし、どれ程の人が気付いたかはしれませんが、どちらにしろその教祖役はBANされた詐欺が使いづらくなってしまったはずです。
そして年末、その教祖役は辞めませんでした。 「敵に負ける訳にはいかない。意思でがんばる」と言い出したのです。
(教祖様、世間ではそれを自由意思って言うんですよ…)
「操られて自分では無くなる」のに、意志がどうのって強引だなと思ったのですが、私はふと気付きました。
「ひょっとして、BANされた詐欺を封じられたからではないのか」と。
どういう事かというと、「年末に辞める」と言いつつ読者達の気持ちを高めておいて、その年末直前にBANされた詐欺をまた発動しようとしていたのではないのか、と思ったのです。
そうすれば、教祖役のブログ等が消された怒りで読者達を興奮状態にさせ、その中でまたすぐに新しいブログ等で復活劇を演じ、その後「敵に負ける負ける訳にはいかない。意思でがんばる!」と言えば、読者達だけはテンションが上がり、今まで以上に信頼度と依存度を深めるでしょうから。
しかし、BANされた詐欺が使えなくなったことで、復活理由の「意思でがんばる」だけを使い回して、気付かれる可能性のある「やめるやめる詐欺」にしぶしぶ移行せざるをえなかったのではないか。そう考えれば強引な言い訳の納得がいきます。
その後も読者達が支持を続けたのは驚きでしたが、それらはそのコミュニティ以外の世間からは奇異に映ったでしょうし、コミュニティの信憑性を落とすというプロパガンダ工作としては成功だったのかもしれません。
※私がここ数年見てきた限り、その教祖役というブレーキがなければ、そのコミュニティが訴えている事の社会的な認知は既に済んでいた可能性も考えられます。
次の一手はなんだろな?
その教祖役は今年も「年末に辞める」と言っています。もちろん「自分ではなくなるから」と。
しかし、せっかくの影響力をみすみす捨てるようにも思えません。
BANされた詐欺が使いづらくなり、やめるやめる詐欺も正直こすりすぎ。
となると、可能性の一つとしては「打ち勝った詐欺」でしょうか。
「頭も体も操られなくなった!支配層に打ち勝った!もう辞めない!」とかなんとか。 そうすれば「教祖」から「英雄」にステップアップ出来るでしょうから。
例えどのような方法であったとしても、その読者達はそれに従い続けるのでしょうね。(気付いているのに信者のフリをしている頭のいい人達もいるんでしょうけど。気付いた人間は「敵側の人間」として排除されますから)
プロパガンダに寄生され、矛盾に気付けなくなったコミュニティを操る次なる一手は、どのようなものになるのでしょうか?
※と、ここまでが下書き通りに書いたものです。先ほど久々に教祖役のブログを見ると、最近になって突然更新を辞めていました。
さすがに「やめるやめる詐欺」を使いすぎて、どこかから疑いの声が出て来ていたのでしょうか。あるいは「年末」と言っておきながら「もう限界」だとして突然辞める事で、信憑性を高めるという狙いなのかもしれませんが。
理由はこれまでと同じく「体が乗っ取られ始めた」でしたが、以前もう既に「自分に対して行われる肉体の遠隔操作技術の完成」が成されていて辞めているのに、いったい何を言っているのでしょう?
しかも、今回再開して1年半以上も経ってから。
大衆コントロールの為にはなりふり構わず、なんでしょうね。
次は、別のコミュニティの事例となります。
プリントアウトで信者化
こちらも、コミュニティを操るテクニックの1つとなります。
日本の保守層を散々かき回した挙げ句、2018年に広く報道もされた「集団懲戒請求事件」を起こした「Yブログ」が使った事例から書いていきたいと思います。
プリントアウトで信者化とは。
人は、好きな人や大切な人の為には動きます。しかし逆に、何かを頼まれて動いた時、その人の中に「この人の為に動いたという事は、この人は自分にとって大事な人だからなのだろう」という心理が無意識に働いて、頼んできた相手に好感を持ちやすくなるんだそうです。(フランクリン効果)
男に貢いでばかりの女性が最後に捨てられてしまうのも、この心理が一方向にだけ強く働いてしまうからなのでしょう。
プリントアウトで信者化テクニックも、そういう人の心理を利用します。
前回記事『BANされた詐欺』でも触れた、保守層の間で一世を風靡し、その後没落していった、Yブログ。「在日全員強制送還」の合言葉をエサに、保守の読者達を多く取り込んでいきました。(「ハードランディング」「外患罪」「このブログに違和感を感じた時点で反日確定」など、色んな迷言がありましたねぇ)
このYブログも「真実を呼び水として、偽の情報で大衆をあらぬ方向に導いていく」というミスリードの手法を忠実に踏襲していました。
そして、その人気には、他のいくつかの保守を偽装したサイトやブログの応援という原因もありました。非常に大きなプロパガンダプロジェクトだったと思います。
そのYブログが頻繁に読者に呼び掛けていたのが、「いつ敵(反日国や反日組織など)にブログが消されるかわからないので、記事をすべてプリントアウトしておいて欲しい」というものでした。
ブログに掲載されたコメント等を見ると、それに従った人達は多かったようです。
プリントアウトのようなごく簡単なこと、でも少々の労力・時間・お金が掛かる事を読者達にさせる事で、先述した「この人の為に行動したのだから、この人は自分にとって大事な人」心理を植え付けていきます。
そうしてこのプリントアウトは、後に2つの事件を引き起こすまでになる信者達を作り上げる、第一歩として使われました。
フット・イン・ザ・ドア
フット・イン・ザ・ドアという、人に要求を受け入れさせる心理テクニックがあります。
最初は、気軽にやってもらいやすい些細な頼み事をして了解を得ます。そして次には少しハードルを上げた頼み事をして、またそれを受け入れさせ、そしてまた次もハードルを上げた頼み事をしていく。
それを繰り返す事で、最初からでは無理であった大きな頼み事を受け入れさせる、というものです。
Yブログが「プリントアウト」の次に読者達にさせたのは、「戸籍謄本と住民票を役所に取りに行かせる」でした。
Yブログは、「反日国が近く日本に武力侵攻してくる。と同時に日本国内に巣食う在日朝鮮人達が一斉に蜂起し、警察や自衛隊と戦争になる」という有事を頻繁に煽っていました。
その “もうすぐ起こる有事” のさなか、「日本人かどうかをすぐに証明できる戸籍謄本や住民票を常に携帯しておいた方がいい」と読者達に呼び掛けたのです。
これらは郵送で取り寄せる事も出来ますが多くは役所へ足を運ぶはずであり、どちらにしろ手間が掛かります。
そして自治体によって差はありますが、大体数百円の手数料を払わなくてはなりません。
頼み事のハードルを上げたのです。
やはりこちらも呼び掛け通り実行した読者が多く出ました。「この人は大事な人」心理は、より強く働くようになったと思います。
そして起こされた「大量メール事件」
次のハードルは既に用意されていました。
Yブログは、在日外国人の在留管理制度が改正される2015年7月9日に合わせて、下記のような呼び掛けを数ヶ月にもわたり行い続けていました。自らが作成した「在日朝鮮人の不法滞在者通報リスト」と共に。
「この7月9日に在日朝鮮人は全員が日本の在留資格を失い、不法滞在者となる。そのタイミングに合わせて、読者大勢が一斉に通報リストのメンバーを入国管理局にメール通報すれば、在日朝鮮人全員を国外退去・強制送還することが出来る」と。
すべてデマでした。
その当日までカウントダウンを行い続け、読者達のテンションを最高潮に高めていった結果、入管のホームページには大量のメールが送られてしまい、サーバーがダウン。入管が数週間にも渡りメール受付を停止するという事態を引き起こしてしまったのです。
それどころか、この出来事は大小メディアに多く取り上げられ大きな批判を巻き起こし、保守層に対するイメージが損なわれるという、逆に読者達にとっては不利な事態を招いてしまいました。
そして、この頃からだったと思います。世間が「ヘイト」「差別」という言葉で黙らされやすくなっていったのは。
勿論、それもYブログの狙いのひとつだったのでしょう。
BANされた詐欺の発動と本の出版。
大量メール事件の1ヶ月後、Yブログは突然 “BANされました” 。
大量メール事件の虚しい結果から読者達の目を逸らす為にも、ベストなタイミングだったと思います。勿論、そのBANに読者達は怒りに怒って盛り上がっていましたが、 その3日後に別の有料ブログサービスで華麗に復活。読者達は歓喜していました。
Yブログはその年の12月に、大手出版社からブログをまとめた本を出版。
戸籍謄本の手数料の数倍の値段のものに多くの読者が飛び付いた結果でしょう、Amazonのいくつかの部門で売り上げ一位を記録しました。
大量メール事件を起こしたにも関わらず本が売れたのは、本当に一世を風靡していたのでしょうね。プリントアウトテクニックなど、このYブログが施してきた数々の事は、確実に実を結んできたのだと分かります。
しかし、その年がピークでした。
そして、ほころび始める。
同じ年の年末に、日本と韓国の間で突然結ばれた「日韓慰安婦合意」に対する下手で苦しい政権擁護から、偽装保守としての正体が露見。そこから徐々に読者が離れ始め、好調だった本の出版も自費出版にスケールダウン。色々な理由で寄付を募り金を集めていましたが、それらの嘘がバレなどして読者離れは加速していきました。
2018年に最後っ屁となる「集団懲戒請求事件」を起こした事で、さすがにこのブログの威光も潰えたのだと思います。
しかし、ここまで大掛かりに行われたプロパガンダ工作です。何か大きな目的があったはずです。
私は、大量メール事件の翌年にその答えがあったのではないかと思っています。
翌年、ヘイトスピーチ対策法が成立。
まず、ヘイトスピーチ対策法成立までの流れを見てもらおうと思います。(ちなみに私はどの政党も一切支持していません)
2009年
在特会(在日特権を許さない市民の会)が京都の朝鮮学校に対して抗議デモを行う。 当時報道もされました。
2012年8月
Yブログがネット上に現れる。
2012年12月
第二次安倍政権発足。
2013年
人気(偽装)保守サイトなどがYブログを頻繁に紹介し始める。
2013年12月
年末にYブログのブログ主だった「初代」が亡くなったと発表される。「死んだらこのブログは削除する」という遺言は守られる事なく、しばらくの休みの後「二代目」がブログを継続する事を発表。(その死が自作自演であるという説も根強くありますが、だとしたら究極のやめるやめる詐欺と言えるでしょう)
2014年
Yブログ、「安倍政権は在日朝鮮人やその利権を日本から排除する救世主」として掲げ、多くの保守読者を取り込んでいく。
2014年8月
国連が日本に対し、ヘイトスピーチに対する対策の強化を勧告。(01年、10年に続く3度目。勧告に法的拘束力はない)
2015年5月
野党が「人種差別撤廃施策推進法案」を参院に提出。
2015年7月
Yブログとその読者達による「大量メール事件」発生。大きな話題となる。
2016年4月
自民公明党が、ヘイトスピーチに対する対策の野党対案を参院に提出。
2016年5月
ヘイトスピーチ対策法が、安倍政権下で成立。
どうでしょうか。
Yブログの動きは、ヘイトスピーチ対策法の成立と妙に歩調を合わせているように見えます。
それまでの名称「人権擁護法案」は、保守層から完全に忌み嫌われていました。日本国内の反日活動を真っ当に批判する日本人の弾圧や、新たな差別利権の生み出しに利用出来るからです。
その保守層を強い支持層とする安倍政権が、それによく似た(というよりもっと酷い)ヘイトスピーチ対策法を成立させる為には何が必要だったか。
日本人は人種差別をする国民であるという大義名分です。
プリントアウトの果て。真の目的。
Yブログが引き起こした大量メール事件のインパクトは、在特会の比ではなかったと思います。
大阪市のヘイトスピーチ条例というアシストも加わって、表向きは保守を演じている政治家達の大義名分も万全な物となりました。
そして、ヘイトスピーチ対策法が成立・施行されてしまった。それは「日本人に対する差別は許される」としか取れない条文が含まれた異様なものでした。
Yブログを含めた偽装保守サイト達は「罰則のない理念法なのだから」と、不満を持つ保守層を押さえていましたが、いくつかの自治体で「罰則のあるヘイトスピーチ条例」を作られている今となっては、すべての自治会で罰則付き条例を作り出す為の「きっかけとしての法律」であった可能性が濃厚となりました。そしてそれは、いずれどこに繋がっていくか?
外国人参政権だと思います。
国がその国民のものでは無くなる可能性を大いに含んだ外国人参政権。
日本人を黙らせ、外国人参政権へと続く扉を開く─── 私はこれこそが、Yブログという大掛かりなプロパガンダプロジェクトの真の目的であったと思います。
目的を達した後はパージされる事がわかっていた、鉄砲玉のようなものだったのです。
多くの日本人が、自分達の首を絞める事になる法案成立の為に嬉々として手を貸していた。Yブログは笑いが止まらなかったでしょう。
人の特性が寄生コミュニティを生み出していく。
以上、2つのコミュニティを例としてプロパガンダの手法を見てきました。
ネットを見渡せば、いくつものコミュニティが寄生され操られているのがわかります。人気やインフルエンサーは組織的に作り上げる事が出来ますから。
人が権威に弱く服従しやすいというのは、過去の多くの心理実験を例に出さなくても誰もがわかっている明らかな事だと思います。その特性は、これからも延々と利用され続けるのでしょう。
Yブログは、いまだ細々と続けられているようです。そして当時ほどではないにしても、まだ信者達は残っている。
一度でも仲間意識を持ってしまうと、人は客観的な視点や批判的な視点をなくしやすいものですが、信者と化した人達はその最もたるものなのでしょうね。
※前回冒頭で「書きたい事が出来た」と書きましたが、前回今回というリハビリを経て、次回からそれを書いていこうと思います。